山賊眼鏡餅。
「なんだ?」

吉川ヨシオは、そう言って立ち上がった。


騒ぎ声がするほうに行ってみると、ホームレスたちが輪になっていた。


見ると、みんな、輪の中心に向かって石を投げている。


中心にいたのは、婆が捕まえたホームレス狩りの犯人…こけしぼうやだった。


縛られてぐったりしている。


「何してんのよ!死んじゃうよ!」

私は言った。



「こいつは人殺しだから、殺しても良いんだぁ」

ししゃもさんが言う。


「だめでしょ!」


「死んだら、川に流すんだぁ。好きにして良いって婆が言ったから、好きにしているだけだぁ」


「そんな!犯罪でしょ」


「わしらに法律なんて関係無いんだぁ……ほれっ!よっちゃんいかも石を投げれ!仕返しするんだぁ」


ししゃもさんは吉川ヨシオに石を渡した。


「ちょっと待ってくれ」

吉川ヨシオが言った。


「なんだぁ」


「ストップ!ストップだ!石を投げるのをやめろ!」

ホームレスは、動きを止めた。

< 315 / 324 >

この作品をシェア

pagetop