山賊眼鏡餅。
まず、横並びで歩いていた3人がまとめて落ちた。


それから、それを助けようとした2人が滑って穴に落ちた。


なんとか自力ではい上がって、落ちた5人は部室に入って、他のメンバーの携帯に電話をかけた。


『怪我をして部室にいるから助けてほしい』というような内容だったらしい。


電話を受けたメンバーは、仲間7人でダッシュで部室に向かった。


あわてていたので、穴に気付かず、7人全員落し穴に落ちてしまった。


それでも、自力ではい上がって、部室に入った。


直後に、何も知らずに歩いてきた部員2人が穴に落ちた。


それから、2人の部員が、穴に気付いて、無事に部室の前に辿り着いた。


その時、1人の部員が、穴に気付かず落ちそうになり、それを止めようとした2人も一緒に落ちてしまった。


手首を捻ったり、小指を骨折したり、足首を捻挫したり、鼻血が出たり、ひざをすりむいたり、爪が割れたり、前歯がかけたり、ひどいものだったらしい。


真帆は自分の案が生んでしまった事態にショックで、ずっと泣いていたそうだ。



「ひどい……」


「大変だったんです」


目黒さんは太い眉毛を上下させながら少し自慢げな感じで言った。


色々知っていることで、得意になっているのだろう。


「目黒さん、ありがとう」



私は礼を言って、部室を後にした。
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