山賊眼鏡餅。
「私、てっきりハジメって、一人暮らしかと思ってたよ。まさかこんな場所に家があるなんて、びっくりだよ」
「あはは。言ってなかったっけ」
「山って人住んで良いんだね」
「まあね」
「電気がつくのがすごいよ」
「発電機だよ」
「何それ」
「ガソリン入れて、発電させてるんだ」
「へえ」
「基本、ランプとかキャンドルだけどね」
「へえ」
「久しぶりにお客さんが来たから、電気、奮発したんだよ」
「ありがと」
「でもそろそろ消えるかな」
「え」
「ガソリン代がもたないからね……ほら」
急に真っ暗になった。
「暗すぎ!」
「ちょっと待って」
マッチをする音がして、オレンジ色の明かりが灯った。
「キャンドル?」
「これはアルコールランプ」
「理科の実験みたい」
「ミチコ」
「何?」
「俺、ミチコに嘘ついてたことがあるんだ」
「え」