山賊眼鏡餅。
沼袋ダイスケ部長がメールをして、ちょうど7分後に、橋本ミミは、部室にやってきた。



「は……初めまして」

顔を赤らめて、橋本ミミはそう言った。



小柄で華奢な少女だ。

いまどきめずらしい黒髪のロングヘアーだ。



「あ……あの、私に聞きたいことって、何でしょうか……」

消えるように小さな声で、橋本ミミは言った。



「ミミ君、急に呼び出して悪かったね。実は、リス研のメンバーについて聞きたいんだ」


「えぇと、誰のことですか」


「合宿に行かなかった、君以外の4人について。教えてくれるかな」


「……わかりました」



橋本ミミは、4人についておおまかに説明した。



合宿に行かなかったのは、鶴見ミツル、駒込ヒカル、山嵐ノゾミ、ウルフ中川という4人なのだそうだ。




鶴見ミツルは、4年生のひょろりとした色白の男なのだと、橋本ミミは語った。


「ちょっと暗くて、変わった人です……」


「その、変り者の鶴見君は、なぜ合宿に行かなかったんだい?」


沼袋ダイスケ部長が質問した。


「だ、大学院の受験をするらしくて、勉強、しなきゃいけなかったみたいです……」



ミミは、続けて、駒込ヒロシについて語った。


駒込ヒカルは2年生の元気な男の子なのだそうだ。

熱血漢という言葉がふさわしい熱い男だ。

小柄だが、よく鍛えた小麦色の肌に、いつも黄土色のタンクトップを合わせているらしい。


ニックネームは、オード卵光だ。



オード卵が合宿に来なかった理由は、母親の結婚式に出席する用事があったためだそうだ。


オード卵の母は、元レースクイーンの、ものすごい美人で、今回が6度目の結婚だったというのは有名な話だ。

< 62 / 324 >

この作品をシェア

pagetop