山賊眼鏡餅。
携帯電話が無いことに気付いたのは、3時を回った頃だった。



家に着いて爆睡して目覚めたのが昼過ぎだった。



どこで落としたのか、心当たりがあった。


山だ。


確実に山だった。


山に登る前、携帯でメールのやりとりをしていた記憶があるし、山を降りてから携帯を見た記憶が無い。




「アネキ、どうしたの?死にそうな顔して」


弟の橘に話し掛けられて我に返った。



「最悪なの。携帯山に落とした」


「山??」


「サークルで飲み会の後に山登りに行ってさぁ」



私が言うと弟は爆笑した。


「腹イテェ。何なんだよアネキのサークル。マジ謎!」


「馬鹿にしないでよ」


「だって、ハムスター研究会、略してハム研だろ!マジうける」


……そう

私は、ハムスター研究会……略してハム研に属している。


実態は、サークルの部室でハムスターの飼育をしているというだけの飲みサークルだが、半期に一度、生ハムとワインのパーティを行うなど、ハム研の名に恥じぬ活動を行っている。
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