山賊眼鏡餅。
今日は、昼過ぎからハジメの山に遊びに来ていた。


山道でぬかるみにはまって転んで、急遽ハジメの家でお風呂を借りることになった。

今日はハプニング続きだ。
いつも通りのデートをするはずが、お風呂まで借りて、こんなことになってしまうなんて。


ハジメのおかんは、あまり気にしていないようだが、私だけ個人的に気まずくなってしまった。



「今日のごはんはカレーよ。良いカレールーが手に入ったからね」

ハジメのお母さんはにこにこしながら、トレイに乗せたカレーライスを持ってきた。



「どんなルーなんですか」


「こくまろの中辛」


「それってそんなに珍しいんですか」


「なかなか好みのタイプのルーがとれないのよね」


「こら、おかん!」

ハジメが小さな声で言った。



「……ま、まあ、こくまろが好きなのよね。私は」


ハジメのおかんは、カレーをテーブルに置くと、そそくさと部屋を出ていった。



「ハジメ、どういうこと?」


「まあ、気にしないでよ……それよりさ」


「何?」


「あの……、そうだ、影丸もカレーが好物なんだ」


「文鳥がカレー?」


「そうそう。カレーっていうより、ニンジンが好きみたいなんだけど」


「へえ。珍しい」


「なんか、いやに喜んで食べるんだよね……呼んでこようか……っていうか呼んでくるよ!」


ハジメはそう言うと部屋を飛び出して、そして1分もしないうちに戻ってきた。


頭の上に、影丸が乗っている。
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