山賊眼鏡餅。
「やっぱり危ないんじゃないか」


「そうだけど、そんなには危なくないよ」


「三人がグルで、監禁されるかもしれない」


「心配しすぎだよ」


「そんな危ない渋谷なんかに行かないで、俺のうちでテトリスでもやらないか」


「ハジメの家、テレビなんてあるの?」


「おもちゃのテトリスだよ。あの、プラスチックで出来てるやつ」


「なにそれ」


「タイマーになっていて、時間内にブロックをはめないと、はじけるんだ」


「わかんないよ」


「あと、あれもある。カルタ」


「二人で?つまんないよ」


「おかんに読んでもらって二人で対戦したら面白いよ」


「えー……」





「……行くな。心配だよ」



「みんなとの約束だし、断れないよ」


「そうか……」

ハジメはそう言った切り、黙ってしまった。




気まずい沈黙だ。


「ごめん、ハジメ、怒ってる?」


「怒ってない」


「……もうすぐ時間だから行くね」


「わかった」



気まずいまま、私は山を降りた。
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