山賊眼鏡餅。
電車に乗って1時間。

なんでわざわざ渋谷なのだろうと悩みながら、私は渋谷に向かった。

確かに良い店はたくさんあるかもしれないが、遠い。

改札を出て待ち合わせ場所に向かうと、ハチ公の像のすぐ横に立つ目黒さんの姿が目に入った。



目黒さんの今日の服装は気合いが入っている。

水色のキャミワンピで露出度高めだ。

足元がヒールローファーなのが少し残念だったが、自慢の胸が強調された良い服装だ。



「目黒さん、おまたせ」

私が声をかけると、目黒さんは極上のスマイルで手を振った。


「真帆はまだ来てないの?」

私が尋ねると、目黒さんは、きょとんとした顔をした。


「真帆さんは来ませんよ」


「え。なんで?」


「夜道で襲われたのがトラウマになってるそうです。犯人かもしれない人と会うのは恐いらしいです」


「じゃあ、女子メンバーは2人?」


「いえ。3人です」


「誰?」


「ミチコ先輩もよく知っている人ですよ。じゃーん」
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