山賊眼鏡餅。
「よし!乾杯しよーぜ!」

オード卵がグラスを手に持って言う。



「あ、はーい。乾杯ー」

私もカルアミルクを手に持った。


「乾杯!」


目黒さんも赤紫蘇サワーのグラスを持って構えた。

ウルフ中川と鶴見ミツルもビールで乾杯をした。




一方、平田は完全に無視されていた。



平田のことには、誰も何も触れなかった。

自己紹介も振られなかったし、驚くことに、注文した飲み物すら来なかった。



さすがの平田も、自分が無視されていることに気付いたのか、何を言ってもスルーされるという状況の中で、次第に、平田自身も空気のように振る舞うようになった。



唯一平田のためにテーブルに運ばれてきたお絞りで、テーブルの上を拭く姿は、哀愁を漂わせていた。
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