山賊眼鏡餅。
「マザー牧場、略してマー牧だぜ。意外にカントリーだろ?」


「へえ。牧場ではどんなことするの?」


「牛の乳絞りとか、ソフトクリームじゃないかな。あと、ブルーベリーなんかも摘むらしいぜ」


「楽しそう!」


「ま、おいらは行かなかったけどな」


「なんで?」


「おいらの母ちゃんの結婚式だったんだ」


それも、ミミから聞いた情報だ。


「すごーい!どこで結婚式だったの?」


「青山のチャペルだぜ!」


「へえ。お洒落」


「ミチコちゃん、結婚願望とかあるの?」


「えー。それなりに」


「目黒ちゃんは?」

調子に乗ったのか、いつの間にか、オード卵は、目黒ちゃん呼ばわりをしている。


「わ、私ですか!?ありますよ。もちろん」


「何歳で結婚したいとかあるの?」


「23歳です」


「じゃあ、そろそろ相手見つけておかないと」


「そうですね」


「鶴見なんてどう?こいつ、見ての通り、奥手でさ」



オード卵がそう言うと、鶴見ミツルは、真っ赤になって、歯をがたがたさせた。

その拍子に、よだれが一筋歯の間から滴れた。



「キャ」

それを見て、目黒さんが悲鳴を上げた。



「母性本能くすぐり系だろ?こいつ」

オード卵は嬉しそうに言った。
< 98 / 324 >

この作品をシェア

pagetop