山賊眼鏡餅。
「ぼ、ぼ、僕にも選ぶ権利があると言いたいところだが、嫌いなタイプでは無いなあ!なんちゃって!ははははは」


「意外とお似合いかもな」
ウルフ中川が言う。


「逆にウルフは結婚願望あるの?」

私が尋ねると、ウルフ中川は、すこし考えてから言った。



「無いな」


「なんで?」


「制度に縛られるのは苦手だからだ」


「じゃあ、ただの彼女だったら作りたい?」


「……まあな」


「っていうか、彼女いるの??」


「いないな」


「だから合コンに来てるってわけね」


「オレは、合コンを恋人探しだけの場だとは思っていないな」


「どういうこと?」


「男女の友情をオレは信じてるし、合コンは、幅広い出会いの場だと捉えている」


「おっと!」

オード卵が口を挟んだ。



「なんだ?」


「ウルフっち、それって言い訳じみてない?」


「そんなことない」


「もしかして、既にウルフっちは彼女がいるとか?」


「私も聞きたいな。そこのところ」

私が言うと、ウルフ中川は、低い声で言った。




「別れたよ」




「えー!?」

と、大きな声をあげたのは、鶴見ミツルだった。


「お似合いカップルだったのになあ!僕は残念だよ!」


「おや!?オイラは知らないぜ!?何だよ、その話」


「知らないなら、わざわざ話す必要はない。もう終わったことだ」


「オイラにも教えてくれよ。誰?誰?リス研!?」


「まあ、リス研だよ」


「誰だよお!」


内輪で盛り上がっていて、嫌な感じだ。


「ちょっと付き合って、合わなかったからやめただけだ。わざわざ話すことではない」


「教えてくれよぉ!ウルフっち!」


最初は笑って見ていた私だが、オード卵のしつこさに、だんだんイライラしてきた。


横でニタニタ笑っている鶴見ミツルも、相当気持ち悪かったが、頑なに交際相手を隠すウルフ中川にも腹が立った。



目黒さんは、なぜか、ずっと受けている。


笑いっぱなしだ。
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