なまやさしい歌
密閉された空間の中で、密閉された友人、江ノ島と再会する。

『おはよー。』

『おはよう、今朝もひどい顔してたよ。』

『るせーな、体勢とれないんだから仕方ないっしょ。』

そんな他愛もない会話。


夏でも上着を着るサラリーマンに、混雑を利用して化粧を始める器用なOL。顔ひとつ抜け出した長身の外国人。みんな、どこに向かうんだろう。


通勤、通学、通…あとは何だ?

通い妻?


そんな話を江ノ島とした。
くだらないけど、そのくだらなさ加減が学生の時分にはいいのかもしれない、とも思う。


今は今でしかない。
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