「REAL」―あるアイドルの告白―
人気とともに、あたしと、あたし自身であるはずの七瀬リオは、真っ二つに切り裂かれていった。

あたしが、あたしのままであっては売れない。

だったら、あたしを切り離して、七瀬リオというもうひとりのあたしを、作ればいい。

テレビの中で、リオになり切ることなんか、簡単だった。

カメラの前では、あたしは七瀬リオ以外の、誰でもなかった。アイドルの仮面は、かぶってはいたけれど。

人気を勝ち取るためになら、どんなことでもする。

だんだんに人気が高まっていくのを感じるうちに、あたしはあんなに嫌がっていたはずのアイドルでいることが、いつしか楽しくてしょうがなくなっていった。

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