「REAL」―あるアイドルの告白―
それでも刃から手を離さないあたしに、向こうも握りしめたナイフの柄を離すこともできないまま、やがて、近隣の通報で到着した警察に捕まった。
あたしが切れた手を、病院で処置をしてもらってる間に、第一報として、「七瀬リオが、ストーカーに襲われた」ことが、速報で流れていた。
事務所は、私のケガを心配しながらも、
「この事件は、名前を広めるいいチャンスになる」
と、言い、
「おまえはインタビュアーに何を聞かれても、悲しそうにだけしていればいい」
と、言った。
「悲しげな表情さえしていれば、必ず視聴者の同情を引けるから」
と――。
あたしが切れた手を、病院で処置をしてもらってる間に、第一報として、「七瀬リオが、ストーカーに襲われた」ことが、速報で流れていた。
事務所は、私のケガを心配しながらも、
「この事件は、名前を広めるいいチャンスになる」
と、言い、
「おまえはインタビュアーに何を聞かれても、悲しそうにだけしていればいい」
と、言った。
「悲しげな表情さえしていれば、必ず視聴者の同情を引けるから」
と――。