「REAL」―あるアイドルの告白―
カメラに笑いながら話す、その自分の横には、それを冷めた目で見つめるもう一人のあたしの姿があった。

ファンの前にだけ、存在する"あたし"。

メイクを取って、衣装を着替えてしまえば、もう七瀬リオなんていう女の子は、どこにもいなかった。

次第に、自分の創り出した虚像のアイドルに、自分自身が押しつぶされて、あたしは息苦しく感じるようにもなっていった。


……七瀬リオなんて、どこにもいないのに。

それは、あたしじゃないのに。

誰も、あたしなんか見ていないのに……!



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