「REAL」―あるアイドルの告白―
せっかく同じグループになったんだからと思って、話しかけてみても、誰もこたえてもくれず、バスの中じゃ、隣に座ることさえ嫌がられた。

あたしは、みんなでいっしょに行動するはずの修学旅行でも、いつもひとりぼっちだった。

出来上がった旅行の写真には、友達と写ってるものなんてあるわけもなく、あたしが写ってるのは、集合写真だけ。

みんなが自分の写真を買おうと、壁に貼られた写真の前に群がる中で、あたしは唇を噛んでひとり教室の席に座り込んでいた。

見ても仕方がない。

陰気な、脅えた顔で、端っこの方に小さくなって写る自分なんか、見たくもなかった。
< 14 / 207 >

この作品をシェア

pagetop