「REAL」―あるアイドルの告白―
遺書なんて、何度も書いた。

死にたくてしょうがなくて、その代わりに手首を切り刻んでた10代の頃

あの頃、死ななくてよかったのかどうかなんて、本当のところ、今だってよくわからない。


リスカをやめた今も、リスカの瞬間を夢に見る。

カッターの刃を恐る恐る肌にあてて、スッと横に引く瞬間――痛みと、安堵とが訪れる、ほんの一瞬のあの時を。

もう何度も何度も夢に見て、あたしはそのあまりのリアルさに目を覚ます。
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