「REAL」―あるアイドルの告白―
あんたたちが、どうせ濡らしたんでしょ。別にもう、そんなこと言う気もないけど。

イスの上には、ぞうきんが敷いてある。

どかせば、きっと「私たちがせっかく敷いといてあげたのに、どかすんだ?」とか、言われるに決まってる。

これ以上、何も言われたくなくて、あたしは冷たい濡れぞうきんの上に座る。

「うわー座ったー。汚な~い!」

「きったなーい。最悪ー!」

「ウケルんですけど、濡れ女ー」

「濡れ女」の一言に、クラス中がドッと笑う。
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