「REAL」―あるアイドルの告白―
キャバ嬢になって、よかったことなんて言ったら、そんな女のサガとかを、知ったことくらいかも。

それ以外は、酔っ払ったオヤジに触られたときの、やり過ごし方を覚えたぐらい。

オトコなんてさ、隙あれば触ってこようとするんだから。

それをいかにうまくかわせるかが、テクっていうか。

露骨にイヤな顔とかしないで、笑ってかわせたら上出来みたいな。


あたしが東京来て、初めての仕事で身につけたのは、そんなことだけ。

ああでも、営業用の愛想笑いは、だいぶうまくなったから。

それは、はっきり言って、その後の仕事にも役立ってるのかもね。

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