「REAL」―あるアイドルの告白―
だけど、またあんな風に、誰かからイジメられるのかもって思うと、外が恐くてたまらなくて。

蘇ってきたトラウマを、消すことができなくて。

きっと、「外に出ていきなさい」なんて言うひとは、「トラウマなんて、思い込みだ」って、言うんだろうね。

「だから、越えられるはずだ」とかって。

越えられれば、苦労してないって。

越えようとして、でも越えられなくて、自分の抱えてる傷の深さに、自分で気づくんだよ。

その痛みに、その深さに。

この部屋から、足を踏み出そうとする度に、ズキズキと。

胸の奥を、えぐられるみたいにね。

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