闇と深紅に招かれて~召喚編~
もう少しまっすぐ歩いて
振り返ると、
今度はもっと
複雑な線を描いていた。
「迷わせるつもり、かな」
呟くと
「そのとおり。」
返事が返ってきて、
ルカは飛び上がった。
見回すと、右手に壁がある。
やわらかそうな毛におおわれた壁は、
呼吸しているのか、
かすかに上下している。
見上げると、顔がこちらを見下ろしていた。
巨大だが、ハムスターだ。
ジャンガリアンだな。
スタンダードな茶色。
覗き込むうるうるの目も、
真黒だ。
しかし、かっわいい。
「ここは”迷いの森”だからね。」
「で?歩き回って疲れた獲物を、
あなたが食らう、とか?」