闇と深紅に招かれて~召喚編~


突然感じの違う声を出したかと思うと、

老女はばっと、布をはいだ。

どうも、魔界と関わるニンゲンは

かぶり物が実は嫌いならしい。

アキヒトといい、この老女といい・・・

と、老女は、

老女まで脱ぎ捨てていた。

中から出てきたのは、

老女とのギャップのせいか、

金髪碧眼で、

光り輝くような

美青年ではないか。

ルカは思わず

声もなく、彼を見ていた。


「わ。マスクまで取れちまった。

ま、いいか。どうせまだ

魔界に不慣れな子の様子だし。」


彼は、脱ぎ捨てた”老女”を

腕で巻き取ると、

本棚と本棚の間の空間に

並べられた木の長いテーブルの

上に、それを放り出した。





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