【コラボ】碧きコ惑のミューゼ~黄昏の彼方~
棲家へ

潜入前


大した報酬だ。
ノインは、口の中に流れ込んだ、不快な
鉄の味を吐き出した。
あれから目隠しをされたまま、何時間も
連れまわされた。
小型飛行機にも乗せられて、連れてこら
れたところは、倉庫の中だった。
そして、何もないこの倉庫の中で縛り上
げられ、拷問された。
まだ、両手首を縛られている。
さすがに吊り下げられたままではないけ
れど。
次は、危ないかな。
一度目は耐えられる。
けれど、その暴力に次があることを知っ
ている脳みそは”次”が待っていること
に耐えられなくなる。
そのための休憩か?
彼らは、ノインが特殊なカートリッジの
中身について、ベリルに入れ知恵された
のではないかと訊いてきた。
当然とぼけたのだが。
次は、無理そうだ。
ノインは拷問に耐える訓練などしていな
かった。
ただ、敵に捕まる可能性がある場合は、
即効性の毒を持たされていた。
秘密を守るため。
そして、死ぬより酷い苦痛を、味あわな
いための自己防衛でもある。
どうせ、拷問されて、吐かされた後は、
殺されるんだ。
ノインは思った。
倉庫のドアが物凄い音を立てて開く。



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