僕らの背骨
第四章 真理と美紀

{11月1日 PM 11:57}

真理はカラオケ店の受付で自分の部屋番号を聞くと、またエレベーターに乗り、美紀がいる部屋に向かった。

莉奈の姿が頭を離れず、真理の困惑はその表情にはっきりと表れていた。

美紀に何て説明をしよう…。

話す必要などない事は真理にも分かっていたが、美紀にそんな自分の困惑の表情を悟られずにいる自信はなかった。

エレベーターを降り、廊下を歩きながら真理はそんな事を考えていた。

部屋に入ると美紀はカラオケのデンモクには手も触れず、真理の帰りを待っていた。

「ごめん、部屋番号忘れて受付に行ってた…。」
真理は美紀から問いただされない限りは先程の出来事を胸に秘めようとそう言った。

「ふ〜ん…、さっき飲み物頼んどいた。烏龍茶で良いでしょ?」
美紀はやはり落ち込んだ様子で真理にそう言った。

「…うん。それで?どうしたの?」
真理はその落ち込みの原因は予め聞いていたが、極力順を追った内容を理解する為、優しくそう聞いた。

「なんか今日さ、学校帰りに女の子に話し掛けられて…、なんかその娘は私の"あの写真"見たらしいんだけど…、RUIDOのやつ…、で、ちょっと仲良くなってそのまま三人でいたんだけど…。」
美紀は所々話しに詰まりながらも、その結果までの始まりを話した。

「うん、それで?」
真理は優しく相槌を打った。

「私成績ちょっとヤバめだから、その娘に勉強教えてもらおうと思って…、その娘高校生だったからさ…。」
美紀は話しを続けた。

「…ていうか、その娘はフラれた事と関係あんの?」
真理は要点がズレている事気付き、美紀にそう言った。

「ない…。だけど、フラれたのがホテルだったの…。その娘が泊まってた…。なんか昨日から東京に遊びに来てたらしくてさ…、山口県から…。でさ、一人で泊まってるって言うから、マサキ君もいるし調度良いかなって…。」
美紀は自分が無防備に見知らぬ少女に付いて行ってしまった事を謝罪するような言い方で話した。

「田辺がいるから"調度良い"って何それ?」
真理は当然の疑問を口にした。

「いやっ、その娘がもしなんかアブナイ人だったら…って意味で…。」
美紀は言った。

「あぁ、そういう意味か…。」
真理は納得した。

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