僕らの背骨
その後店員が飲み物を運んで来ると、素早く部屋を出て行った。
「…急に?なんかそれっぽい雰囲気とかなかったの?」
真理は聞いた。
「ないよ…。昨日も普通にマサキ君ちでしたし…。」
美紀はそんな悲しい事実を話した。
「ひどくないそれ!マジムカつくんだけど…。」
真理はもしそれが自分だったらと想像してさらに憤りを感じた。
「…私超尽くしてたのに、なんかあっさり捨てられた…。」
美紀は烏龍茶に口をつけながらそう言った。
「好きな人って誰?田辺それ言ってた?」
真理は聞いた。
「言わなかった…。お前に関係ないとか言って…。」
美紀はその光景を回想し、胸を痛めながら言った。
「…ていうかさ、今更だけど田辺のどこが良いの?」
真理は学校の大多数の人間が思っていた事を代表して聞いた。
「分かんないよそんなの…。」
美紀は別れてから気付いた田辺正樹という劣悪な対象を今は心底恥じていた。
「そうだけどさ、田辺って普通に性格も良くないしさ…、ブサイクなのは見て分かるけど…。」
真理はここぞとばかりに田辺の魅力の薄さを美紀に提示した。
もちろんこれはそれを言う事で早くそんな奴の事は忘れろという真理の優しさである。
「私には優しかったよ…。たまにウザイ時もあったけど…。束縛とかはね!」
美紀はまだ未練があるらしく、一応田辺の擁護側に自分を置いていた。
「そうだよ!ブサイクなくせに束縛とかするんだよ!?田辺のせいでうちらほとんど遊べなくなったんだから…。」
真理はその寂しかった自分の時間を美紀に理解させる為に、そんな事を言った。
「それはほんとにごめん…。でも私もすごい真理と遊びたかったし、ちゃんと時間作りたかったよ…。」
でも田辺を優先した…、という分かりきった事実は敢えて省略して美紀は真理に謝罪した。
「親友より男を優先しちゃってさ!!」
真理は冗談半分にそう言った。
「だからごめんって!!これからはもう真理一筋だから!」
美紀はようやく親友と冗談を言い合える事に喜び、嬉しそうな笑顔を見せながらそう言った。
「約束だよ!(笑)でも私に彼氏が出来たら美紀なんか放ったらかしにするから!(笑)」
真理もこの友情の修復を喜び、満面の笑みでそう言った。