僕らの背骨
「仲良くやってた?」
美伽はそんなお節介を誠二にしながら二人のテーブルに座った。
「…うるせぇよ。」
正樹はすでに自分がどう行動に移すべきかを考えていた。
「美味しい〜!」
正樹の深刻な表情を他所に、莉奈はあどけない笑顔でそう言った。
「でしょう!これは超自信作なの!でも手間が掛かり過ぎてメニューに出せないのが欠点なのよ…。結構材料費も掛かるからさ、値段を3000円くらいにしないと割に合わないだよね…。でもそんな値段払ってまで誰も"ドリア"なんて頼まないじゃん!?(笑)」
美伽はそんな現実を15才の二人に愚痴っていた。
「…3000円?」
莉奈は今現在金銭的な余裕はあったが、普段食べる料理だったら考えられない単品料金に驚きながら聞き直した。
「大丈夫大丈夫!これはタダだよ!(笑)莉奈ちゃんからお金なんて取らないよ!私が来てって言ったんだもん。」
美伽は優しい表情で莉奈にそう言った。
「…商売する気無しかよ?」
正樹は堪らずそんな意見を言った。
「良いのよ他で採算取れるから!ビールなんて超高いよここ…。びっくりするよあんた(笑)。国産は普通だけど外国産ビールは完全暴利…。でも皆格好つけて頼むからさ…。でも私じゃないよ!値段決めたの!前の店長の時の値段設定のままだもん。私のせいじゃないからね!(笑)」
美伽は終始笑顔を絶やさず二人にそんな話しをした。
「…誠二が今どこにいるのか分かんの?」
正樹は突然真顔になりそんな質問を莉奈にした。
「…ん?」
莉奈は美伽の前で悲観的な状態になるのが嫌で、とぼけた表情を見せながら正樹の質問をはぐらかした。
「…何々?誰?」
美伽は寝耳に水といった表情で間に入った。
「…答えろよ。…知ってんのか知らねぇのか。」
正樹は真顔のまま食い下がった。
「…さぁ。」
莉奈は美伽が席を外すのを待った。
「…私、邪魔?」
美伽はそんな莉奈の意思に気付き、一応確認の為にそう聞いた。
「邪魔だよ、席外して。」
正樹は間髪入れずに美伽に言った。
「あんたに聞いてないよ。莉奈ちゃんに聞いたの。どう?私席外そうか?」
美伽は言った。
「…じゃあ、ちょっとだけ。…すいません。」
莉奈は謝罪しながらもその意思を伝えた。