僕らの背骨
「そもそも喧嘩なんてしてたのかな…。多分、出会いが変だったから、すぐには私が受け入れられなかっただけなんだよ…。だから…、最初私はこの人を深く傷つけた…。でも私は悪くないよ!この人顔は格好良いけど頭が変なの!(笑)超不器用だし…、なんか暗いし…、顔は格好良いけどね!」
真理は本気とも冗談ともとれるニュアンスでそう言った。
「…う〜ん、でもこんな傷だらけだとイケメンが台なしだね…。」
美紀は身を乗り出して誠二の顔を覗き込みながら言った。
「えっ!顔に傷があるのって格好良くない!?出来ればいくつか傷痕残ってくれないかな…。(笑)」
真理はまるで自分が誠二の彼女になったような口ぶりで言った。
「えぇ〜?私綺麗な顔の方が好きだけど…。ていうかあんた妹でしょ!?その彼女みたいな言い方やめなよ!(笑)」
美紀は真理の肩を軽く叩きながらそう言った。
「いきなりお兄ちゃんが出来たんだからさ…、どうせなら格好良い方が良いじゃん!(笑)でも頭は変だけどね…。」
真理はがっかりした表情をしながら誠二を見て言った。
「私もお兄ちゃん欲しいな…。弟でも良いけど…。ていうかさ、さっきお医者さんが家族に連絡しろって言ってたけど…、どうすんの?」
美紀は冷静な顔付きになって言った。
「それがさ…、私連絡先知らないから…、どうしようかと思って…。」
真理は正直に言った。
「えっ?ていうかあの手紙には書いてなかったの?」
美紀は地べたに置いてあった真理のバッグを指さしながら言った。
「普通書いてあると思うじゃん!?何にも書いてなかった…。ちょっと頭がおかしいんだよこの家族…。」
真理は分かりやすい怒りの表情を表しながらそう言った。
「ていうか真理もその家族の一員でしょ…。まぁ、…ドンマイ。」
美紀はおどけた表情で真理の頭を軽く撫でながら言った。
「…莉奈ちゃんと連絡とれれば良いんだけど…。知らないしさ…。あの時聞いとけば良かったな…。」
真理は数時間前の事を回想しながら言った。
「…"あの時"は無理じゃない?修羅場だったしさ…。」
美紀も同じ場面を回想してそう言った。
「まぁね…。時間を戻せたとしても多分…、連絡先の交換は無理か…。」
真理はその時の空気感を思い出しながら、言葉を訂正した。