僕らの背骨
「えっ、…そんなにひどいの?先生腕と肋骨の骨折って言ってなかったっけ?」
美紀は言った。
「あっ、そっか…、足は折れてないんだ…。じゃあ、取り敢えず少し休めば誠二すぐ莉奈ちゃんに会えるね。良かった…。」
真理は莉奈も家族の一員といった感覚でそう言った。
「今思ったけど…、誠二と莉奈ちゃんが結婚したら、莉奈ちゃん真理の妹に…、いやっ違う!お姉ちゃんになるのか?」
美紀は階段を上りながらそんなチープな発想で真理との平穏なる会話を繰り広げようと画策した。
「ていうか誠二も一応うちらと同じで15才だからね!学年はいっこ上だけど、結婚はまだ無理じゃん!ていうか早いよ!私昨日今日でいきなりお兄ちゃんが出来たんだから…、お姉ちゃんはまだいらないよ!(笑)」
真理はそんな皮肉を言いながら美紀との平穏を楽しんだ。
三階に戻ると、二人は真っ直ぐ誠二の病室に入り、また先程と同じように椅子に座った。
誠二は相変わらず静かな寝息を漏らしながら眠っていた。
誠二が今後面と向かうべき莉奈や幸雄、そして真理との関係は、今はまだ漠然とした存在のまま宙に浮遊していた。
「…起きたら何て言うの?」
美紀は好奇心で聞いた。
「何だろ…。すぐに莉奈ちゃんの事言うべきかな…?でも安静にさせなきゃダメだし…。言った途端にいきなり立ち上がって莉奈ちゃんの病室に向かっちゃったら私が先生に怒られそう…。」
真理はまるで弟を心配する姉のような言い方で、誠二の身を案じていた。
「良いな…。私も早く新しい恋人欲しいな…。」
美紀はしみじみと呟いた。
「はぁ!?あんたもう男は懲りたでしょ?しばらくは私で我慢しなさい!(笑)」
真理は美紀の頭を軽く叩きながらそう言った。
「はぁ〜い…。でも合コンくらいは良くない?"紗耶"経由でギャル男一杯呼べるよ!(笑)」
美紀は目を見開きながらそんな誘いを真理にした。
「…ていうか紗耶ってそんな知り合いいんの?」
真理は昨夜の紗耶のイメージから考えて、そんなに男友達が多そうには思えなかった。
「真理知らないの?あの娘男友達だけは超多いんだよ!だから女子から嫌われてんだけど…。」
美紀はそんなゴシップを暴露しながら、今後の恋愛に纏わる展望を広げていた…。