僕らの背骨

「…誠二は誰にも渡さんけん…、浮気は"妹"でも嫌…、これから誠二との面会は莉奈の監視付きやから、そのつもりでおってね…。」
莉奈は半分本気で二人の親密な関係育成を心配していた。

「"浮気"って…、ていうか監視付き!?別に良いんだけどさ…、そこは信頼が大切じゃない?(笑)」
真理も冗談半分で対応して言った。

「今は信頼より誠二の方が大切なの!ただでさえまだ二人の関係があやふやなんだから…。誠二が起きたらそこんとこをまずはっきりさせてやる…。起きた瞬間にね!(笑)」
莉奈はすでに真理との信頼を築いており、その新たな友達の存在にも胸を踊らせながら笑顔を見せていた。

「…本当はもう起きてんじゃないの?多分莉奈ちゃんが怖くて起きれないんだよ。(笑)」
真理も笑顔でそんな冗談を言った。

「ちょっと誠二!起きてんの!?こらっ!聞きたい事山ほどあるんだから起きろ!これだから男は弱いっちゃ…。絶対女の方が何倍も精神が強いけん。莉奈はこれからずっと誠二を支えんといけんから超大変…。でも好きやけん仕方ない…。」
莉奈は恥ずかしげもなく本音を言った。

「良いなぁ…。私も好きな人欲しいなぁ…。」
真理はいじけた様子で言った。

「またまたぁ…、真理さんには田辺正樹がおるけん安心やね。(笑)」
莉奈は意地の悪い笑顔をしながらそう言った。

「はぁ!?ちょっとマジで田辺だけは無いから!(笑)」
真理は笑いながらも莉奈の腕を掴んで否定していた。


病室ではこんな"15歳達"の交差が笑い声で末路を見せた…。


傷付き、やがて触れ合った体温の擁護もすぐに溶け合い、その本来の抱擁を見せた。

やがて誠二が目を覚ませば、次の瞬間莉奈は彼に抱きつき、それはやっと擁護と認識出来た揺るぎない互いの抱擁と知った。

二度と放しはしない…。

莉奈のその願いもまた誠二と交差し、純粋なる抱擁の証明にもなった。


いつかは散り散りになる交差の過程だが、彼らには深くこの記憶が刻まれ、これは唯一自分と闘った"背骨"になる…。



彼らは傷付き、
その孤独と闘った…。


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