僕らの背骨
真っ直ぐ人を好きになる…。
莉奈はそれに違和感を感じた。
果たしてそれが莉奈に当てはまるのだろうか…。
誠二を想うからこそ、
孤独にはさせられない…。
莉奈はそんな理屈を度々自身の内で繰り返しては、それは結局ただの自己満足なのでは…、と感じていた。
覆い隠すように誠二への求愛がそれをうやむやにしていたが、やはり他人からそんな感情論を言われると、莉奈は自身の想いは偽物だと心で揺らいでいた。
「それを…、確かめに来たんです…。莉奈は本当に誠二が好きなのか…。」
莉奈はうつむきながらそう言った。
「…えっ?好きじゃなきゃこんな遠くまで会いに来れないんじゃない?お姉さんはそう思うけど…。だってさ、たった一人で会いに来るって凄い勇気のいる事でしょ?」
女性店員は莉奈を励ますようなニュアンスで言った。
「…でも、ただ莉奈は誠二に会いたいだけで…、誠二の事をちゃんと理解してないかも…。本当に好きなら、誠二を苦しめたりしない…。」
莉奈はまるで自分自身で問うように言った。
「…大人だね。偉い!!お姉さん多分莉奈ちゃんの二倍くらい生きてると思うんだけど、そこまで相手の事は考えられないかな…。だって自分の事だけで精一杯だもん。むしろそんな自分をもっとちゃんと支えて!って相手に言っちゃうくらい。(笑)」
女性店員は愛くるしい笑顔を見せながらそう言った。
「(笑)…。莉奈"自分を支えて"なんて絶対言えん…。だって誠二の方が莉奈の何倍も辛いけん…、絶対言えん…。」
莉奈は女性店員に笑顔を見せながらも、弱気な姿勢はそのままに言った。
「そんな事ないよ!莉奈ちゃんだって私だって、ていうか人間皆辛い事を一杯抱えて生きてるんだから、彼ばっかり特別辛いなんておかしいよ!」
女性店員は少し怒った口調で言った。
「………。」
莉奈は黙った。
誠二の生い立ちはまさしく特別で、女性店員の言う辛さとはまるで度合いが違うのだ。
莉奈も同じ女性として賛同したい気持ちはあったが、やはりそんな誠二を想うと、自分優先の考え方にはなれそうになかった。
「あのさ莉奈ちゃん…、どうして彼の方が辛いと思うの?」
女性店員は莉奈の気持ちを知らず、核心を聞いた。