僕らの背骨
「ちゃんと払います!」
莉奈はレジで言った。
「良いの良いの!気にしないで。そのかわり約束ちゃんと守ってよ!」
女性店長は詫びの意味も込めてそう言った。
「は、はい…、でも…。」
莉奈は自分が泣いてしまったせいだろうかと気に病んで言った。
「良いんだって!私がオーナーなんだから誰にサービスしようが自由なの!それより…、今夜泊まるの所とかちゃんとあるの?」
女性店長は莉奈のバッグが荷解きされてない様子を見て言った。
「大丈夫です。ホテル予約してありますから。叔父さんが全部やってくれたんです…。」
莉奈はその叔父が誠二の叔父という事は伏せて言った。
「そうなんだ…。一人でホテルって寂しくない?よかったら私んち泊まる?」
女性店長は冗談とも本気ともとれるニュアンスで言った。
「ほ、本当に一人で大丈夫です!!あの…、よかったら名前教えて下さい。」
莉奈はせめてこの地で唯一の"友人"を作ろうと思い、そう聞いた。
「田辺、田辺美伽。…年齢は聞かないでね。(笑)」
美伽は笑顔で言った。
「(笑)、私は高橋莉奈って言います。…15才です。」
莉奈は手を差し出し、握手を求めながら言った。
「よろしくね!15才か…。倍以上か…。あっ、じゃあ私の弟と同い年だ!」
莉奈の手を握りながら美伽は言った。
「そうなんですか…、仲良いんですか?」
莉奈は聞いた。
「う〜んどうかな…、最近はたまにしか会ってないし…。また可愛くないんだこれが!莉奈ちゃんとは大違い!出来れば莉奈ちゃんみたいに可愛い妹が欲しかったなぁ…。」
美伽は莉奈を愛くるしい眼差しで見つめながら言った。
「(笑)、莉奈も美伽さんみたいなお姉ちゃんが欲しかったです…。」
莉奈は言った。
「本当に上手いね!!(笑)そんな事言っておきながらもう来ないなんて無しだよ!!少なくとも明後日には絶対来てね。」
美伽は釘を刺すように言った。
「はい!絶対来ます。今日は本当にごちそうさまでした。」
莉奈は深くお辞儀をしながら言った。