光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「わかってるから、もういいでしょ?約束はちゃんと守ってるんだから。」




やけくそ気味に自分でそう言っておきながら、胸がズキッと痛む。



嘘をつくことは、たやすいことではない。




「そう?なら…いいわ。」




何か様子がおかしいあたしをお母さんは不思議そうにしていたけど、それ以上突っ込んでくることはなかった。




「部屋に行く。」



「ちょっと待って!はい、これ。」




無愛想に鞄を持って立ち上がるあたしを引き止めて、お母さんはプリントを差し出す。




あっ、あのプリント、書き終わってたんだ。



無言でプリントを受け取る。




「塾の準備しておきなさいよ。それに、もうすぐ夕飯出来るからね。」



「うん。」




首を縦に振り、自分の部屋に向かおうと階段に向かった。



階段を上る間、ギシギシと鈍い音が響く。



けど、今のあたしなら何も気にならない。



頭の中は、お母さんに対するいろんな気持ちでいっぱいだった。



ただ、それだけだった……。







「あーあ……。」




部屋に着いて、投げやりにそう言いながら鞄を投げるみたいに床に置いた。




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