光を背負う、僕ら。―第1楽章―
持っていたプリントを勉強机の上に置き、制服のままでスカートにしわがつくこともおかまいなしにベッドに寝転んだ。



仰向けに寝転び、天井を仰ぐ。




「どうせ、なんとも思ってないじゃん。」




独り言だと言うのに、やけに大きい声が出た。



1階にいるお母さんに聞こえるのではないかとあとから不安になり、一瞬血の気が引く。



けどしばらく経ってもお母さんがさっきの言葉を聞き付けてやってくる様子はない。



安心したあたしはまた



「あーあ……。」



と呟いていた。





どうせ、お母さんはなんとも思ってない。



あたしがピアノを弾けなくなって辛かったことを、お母さんは知らない。



だけど、気付いてほしかった、あたしの気持ちを…。



お母さんは『約束は辛いだろうけど』って言った。



でもそんなの、上辺だけだよ…。



本当は、自分を苦しめたくなくてあたしに約束させたんだ。



あたしのためではなくて、自分のために。



お母さんはあたしの気持ちをわかっているつもりなの?



実際は、何にもわかってない。



だって現にあたしは今も、苦しんでるよ……。




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