光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あたしは歌い終わった後、音を立ててノートを閉じた。



そして、そっと瞼を伏せる。



瞳を閉じても、さっきのノートの言葉を思い出せる。



だってノートに書いてあって、なおかつあたしがメロディーに乗せて歌ったあの言葉は、あたしが作詩したものだから。



詩に乗せたメロディーも、もちろんあたしが作曲した。



一つ目の詩に使ったメロディーは、今日学校で演奏した曲。



普段はピアノを弾かないから、あたしは度々ハミングで作曲していたのだ。



実際に楽器で演奏するのはおとといが始めてだったけど…。



そしてさっきのノートに書いてあったのは、なんとなく書き始めたポエムだ。



暇で気ままに始めた作詩。



日記を書くみたいに、毎日あったことや思ったことを詩にしていた。



最初から作曲した曲と合わせて作詩していたわけじゃない。



作曲のほうが、作詩よりも前に始めていた。



いつも、気持ちをメロディーに変えていた。



見た物、聴いた物、何かに感じて心が動く度に、メロディーに変える……それが密かな楽しみになった。



作詩した詩をメロディーに乗せることも、楽しみになった。




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