光を背負う、僕ら。―第1楽章―
もともと曲に合わせた作った詩じゃないから、歌ってみるとなんだかおかしな部分だってある。



それでも、いいんだ。



少しでも音楽に関わっていることが楽しい。



そんなあたしにとってこれらは、今の唯一の楽しみと言っても過言ではない。




夢はない。



だけど好きなことならある。



でもこれだって、音楽だ。



ピアノが関わらないとは限らない。



それに何より、あたしは気付いた。



自分で作曲した曲をピアノで弾くことは、とても気持ちがいいということに。



ハミングとは、何かが違った。



ピアノの音は、心を落ち着かせてくれる。



あたしは今も、ピアノが好きなんだ――。





だけどやっぱりそれはお母さんに言えない。



お母さんとの約束を破ってピアノを弾いたことがバレたら、どうなるかわからない。



現にピアノを弾いたかどうかを聞いてきた時のお母さんの表情は、いつもと違って真剣で、何かを言いたいという感じだった。



でも、もう止まらない。



ピアノの音色を自分で感じたあたしは、きっとこれからもピアノを好きでいるだろう。



あたしの気持ちはもう、ピアノ一色に染められている…。




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