光を背負う、僕ら。―第1楽章―
自分の部屋に入れば、いつものように制服から私服に着替える。



そんな風にいつも通りのことをしていたけど、頭の中はいつもと違っていた。



いつもなら気にならない、伸一君と小春ちゃんの些細な会話。



だけど今日は、ずっとそのことが頭から離れない。



伸一君が小春ちゃんと笑い合う姿。


幸せそうな二人の姿。


小春ちゃんが伸一君を呼ぶ声。


小春ちゃんに優しく話しかける伸一君の声。



すべてのことが頭の中に蘇ってくるみたいだ。



瞳を閉じても浮かぶ二人の姿や、耳を塞いでも聞こえてくる気がする二人の会話。



それらが、やけにあたしの胸を苦しめる。





ザアーーー……





服を着替え終わった時、激しく降る雨の音が家の中に響き出した。



カーテンを開けて、外の様子を伺う。



見ると、学校にいた時と同様に雨が真っ黒な雲から降り出している。



窓には、わざとホースで水をかけられているみたいな量の雨が、しきりに伝い流れていた。




帰る途中にこんなに降らなくて、よかった…。




そう思いながら開けたカーテンを閉じる。



するとまた、さっきまで考えていたことがふっと頭の中に現われた。




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