光を背負う、僕ら。―第1楽章―
君とひととき
「…佐奈!」
机の引き出しから教科書やノートを取り出して、スクールバックに詰めていた時だった。
あたしを呼ぶ声が、どこかから聞こえてきた。
鞄に向けていた視線を、声が聞こえてきたと思われる教室の出入り口に移す。
するとそこには、さっきあたしを呼んだと思われる人物と、もう一人の人物がいた。
「佐奈、部活行こう」
そう言ったのは、さっきあたしの名前を呼んだ人物である明日美。
肩ぐらいまでのショートの髪がよく似合う女の子。
性格はサバサバしていて、笑った時に八重歯がチラッと見えるのが特徴。
「部活始まるよー」
次にそう言ったもう一人の人物は流歌(るか)。
背中の半分ほどまで伸びたロングの髪の毛をいつも可愛く結わえている。
男子なら誰でも好みそうな感じの可愛い女の子だ。
二人とも同じクラスで、同じ部活に入っている友達。
二人とも同じクラスなのに、準備が早いな…。
そう思いながら二人に向かって言う。
「悪いんだけど二人とも、先に行っててくれる? 国語の時間に提出できなかったプリント、職員室に持って行かなくちゃいけなくて…」
手に持っていたプリントをヒラヒラと動かして二人に見せた。