光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「分かった。 じゃあ、先に行ってるね」
二人はそう言うと、部活をするために教室を後にして歩いていった。
そんな二人の背中を見送った後、残っている教科書やノートをすべてスクールバックに詰め込んだ。
するとその時、ふと大きな声が廊下から聞こえてきた。
「おーい、伸一! 部活行くぞ!」
「おー、わかってる!」
さっきの声に返事をした人物の声に、あたしの心臓はドキッと反応する。
あたしはチラッと、声がした方に振り向いた。
そこにいるのは、一人の男子。
細身で身長は高めで、髪の毛は短いなりに、最近の男の子って感じの髪型。
少し着崩した感じで制服を着ている。
彼を、あたしはずっと知っている。
名前は、佐藤 伸一。
小学校からの同級生でクラスメート。
そして、あたしの片想いの相手――。
伸一君は机の上に置きっ放しのプリントや教科書を必死に整理していた。
サァーーーー……
その時、窓から少し温かい春風が吹き込んできた。
あたしの結んでいる髪の毛が、風になびいている。
掲示物が、パタパタと音をたてて揺れていた。