光を背負う、僕ら。―第1楽章―
そう言った伸一君の瞳は真直ぐで、限り無く澄み切った純粋な瞳だった。




この瞳は伸一君の心を表しているんだろうな…。




なぜかあたしは、そう感じていた。




伸一君の言葉の勢いに負けた達也君が、しぶしぶと口を開く。




「はいはい、伸一が“運命”を信じてることはよくわかったよ。」



「なんだよ達也、その言い方。自分は“運命”を信じてないみたいな言い方じゃん。」




伸一君は少し、不満そうだ。



達也君は一瞬考え込んだ後、答えた。




「信じてないわけじゃないけど、あんまりは信じてない。世の中にそんなに“運命”があるとは思えねーし。」



「お前、ロマンがねーなぁ。」



「ロマンってなぁ…。」





あたしは二人のやりとりを、黙って聞き続けた。




「そりゃあ達也の言う通り、“運命”ばっかがあるとは限らねぇよ?けどどうせならさ、信じたいじゃん。“運命”を。」




そう言った伸一君の瞳は先ほどと同じで、やっぱり澄み切っているように感じた。




「…伸一らしい言葉だな。」




達也君の顔に、フッと笑みがこぼれる。





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