光を背負う、僕ら。―第1楽章―
なぜか、心がチクリと痛む。



なんでだろう…。



伸一がどの席になりたいかは伸一の自由なのに、なぜか欲を思ってしまう。



「また班は、このメンバーがいいな」って言って欲しいと思う、そんな欲を。




気持ちが沈んでいると、突然伸一が声をかけてきた。




「佐奈、どうした?」



「…えっ?」



「なんか、悩みごとでもあるのか?」




悩みごと…。



確かに今考えていることは悩みごとだけど、伸一には相談出来ない。



だけど、心配してくれることはすごく、…すごく嬉しいよ。




あたしはできるだけ元気を装い、伸一に言った。




「なんでもないよ。」




あたしが微笑したせいか、伸一は安堵しているみたいだ。




「…そうか?ならいいけど、あんま無理すんなよ?悩みごとならいくらでも乗るからな。俺達、運命仲間なんだし。」




久々に聞く運命仲間と言う言葉で、偽りのない笑顔がこぼれた。




「ありがとう。なんか、懐かしいね。運命仲間って言葉。」



「確かにそうだよなー。席替えした日に伸一がやたら言ってたきり、聞いてないもんな。」




隣りの達也がぽつりとそう言えば、真奈が振り向いて言う。





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