光を背負う、僕ら。―第１楽章―

「なんだよ伸一。気持ち悪い笑い方しやがって。」



「気持ち悪いは余計だろ。…達也、自分の席を見てみろよ。」




そう言われて達也が黒板を見た時、達也に見えない位置で伸一がにししっと笑う姿があたしにだけ見えた。



その姿が何を意味するのかは、次の達也の言葉で明らかとなる。




「げっ！俺、一番前！？」




ざわめく教室の中でも、達也の驚きの声ははっきりと聞き取れた。




そっか、それで伸一は笑ってたんだ…。



自分を笑った達也の席が、最悪だと知っていたから。




「…マジで！？てかあれ、今の伸一の席じゃん。変化ねーよ！」




その言葉を聞いて、あたしも黒板を見た。



するとそこにはやっぱり達也の言う通り、今の伸一の席に達也の名前が記入されていた。




うわぁ、本当にそうなんだ…。



なんだか、くじ運悪いな達也…。




そう他人の不幸をお気の毒様、と考えていた時だった。




「佐奈、佐奈の名前書かれたよ！」



「えっ！？」




突然の出来事でもないはずなのに、なぜか大袈裟に驚いてしまう。