光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「そんなに驚かなくていいじゃない。だって、まだ好きでしょ?」




“好き”――。




その言葉が、あたしの胸にじんわりと染み渡った。




「そりゃあ…好きだけど…。…でも今さら、無理なんじゃない?」




“伸一は、真奈ちゃんと付き合ってるんだから”




反射的にその言葉は言えず、喉元まで出てきたところで飲み込んだ。



多分、あたしが今一番言いたくない言葉だったのだろう。




「そんなことないよ。だってまだ、告白してないでしょ?」




実夏は頑張れとでも言うようなオーラを放ちながらあたしに問い掛ける。



だけど残念ながらあたしには、実夏のオーラに応えられる勇気はない。




「…そんなの無理だよ。自信ないもん…。それに……。」




やっぱり、さっきの言葉は喉元までしか出てこなくて、声に変わる前にスゥーッと消え去っていく。



実夏は何かを察したのかして、小さく「あっ。」と声を発した。




「…もしかして、伸一君と真奈ちゃんが付き合ってるから?」




正直言うと、それだけが理由じゃない。



でもそれも、理由の一つだ。





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