光を背負う、僕ら。―第1楽章―
黙って、コクリと首で頷く。



実夏はそんなあたしを見て言った。




「じゃあ、諦めるの?」



「諦めるって、決めたわけじゃないよ。」



「じゃあ、なんで…?」




あたしは柵から体を離し、柵に手をかけて真直ぐ遠くを見渡した。



見ているのは、運動場でも山でもない。



記憶の中に浮かんで見える、伸一と真奈の姿だ。



小さく、深呼吸をする。



それから、ゆっくりと口を開いた。




「…諦めたくはない。だけど、告白しようとかは、今は思えない。理由はあの二人が付き合ってるからっていうのもあるけど、何か…違う。」



「違う?」



「…うん。」




あたしは風で顔に張り付いた髪の毛を指でどけて、耳にかける。



この頃のあたしは髪の毛をあまり結んでいなかったから、さっきから長い髪の毛が邪魔になって仕方がない。



実夏のショートの髪でも風で髪の毛が邪魔になるらしく、あたしと同じように髪の毛を耳にかけていた。



そんな姿を視界の端で捕えながら、言葉を続ける。





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