光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「なんか…あの二人の間には入れない感じがするの。それに、二人の仲を裂くようなことはしたくない。」



「……。」




実夏は黙ってあたしの言葉を聞いていた。




「…だからね、今は告白しない。でも諦めるんじゃなくて、もう少しだけ頑張ってみるよ。」




そう言って、目をギュッとつぶる。



実夏は、ゆっくりと言葉を選ぶように言った。




「…佐奈は、優しすぎるね。もっと、自分の気持ち出してもいいのに。」



「……。」



「でも、それが佐奈の出した答えなんだよね?」



「うん。」




短い言葉だけど、はっきりと声を発した。



この言葉に、今ある思いをすべて詰め込んで。




「なら、あたしはそれでいいと思うよ?佐奈の気持ちは、佐奈のものだもん。」



「ありがとう、実夏。」




少しだけ、微笑んだ。



そうしたら実夏も、一緒のように微笑んで言う。




「また悩むようなことがあったら、遠慮なく相談してね?恋愛相談なら、いくらでも聞くからね!」




胸をはって堂々と言う実夏を見たら、さっきよりも笑みがこぼれる。





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