光を背負う、僕ら。―第1楽章―
昼休みに見たあの雲は、もうここまで来ているらしい。




「じゃあ、帰ろっか。」



「うん。」




そう返事をして一歩踏み出した時、あたしは自分の荷物に違和感を感じた。



背中にはランドセル。


首にかかっているタオル。



…おかしい。


あれがない。




朝この昇降口に入ってきた時には手に持っていたあれが、確実に今あたしの手元にはないのだ。




「しまった…。」



「えっ?」




歩き始めたみんなが声に反応して一斉に振り向く。



今気付いたことをみんなに言おうかどうか考えて、一瞬躊躇する。



でも考えたぬいた結果、言うしかなかった。




「プールバッグ、教室に忘れてきちゃった…。」



「えぇ!なんで!?」



「タオルは持ってるのに忘れちゃったの?」



みんなの反応は、予想通りの反応だった。



驚くのも仕方がない。



みんなの言う通り、髪の毛を拭くためのタオルは持っているのに、プールバッグは持っていないのだから。



どうやらプールバッグからタオルを出したものの、肝心のプールバッグは机の横にかけ忘れてしまったらしい。





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