光を背負う、僕ら。―第１楽章―

「佐奈ちゃん、協力ありがとう。」



「協力…？もしかして、さっきのこと？」



「そうだよ。あたし達みんな、二人に仲良くなってもらおうといろいろ頑張ってるんだ。ほらっ、やっと二人とも付き合えたでしょ？せっかくの両想いなんだから、仲良くしてほしくて。だから佐奈ちゃんが教室から出てくれて助かったよ。あの二人を二人きりに出来たから。」




そう言ってみんなは、とても楽しそうに笑っている。




よほど真奈の恋が叶ったことが、嬉しいんだろうな…。




友達思いのみんなを見ていたら、あたしは余計に叶わないって感じられた。




「…そろそろあたし、帰るね。」



「あっ、うん。ほんとに協力ありがとう。また明日ね。」



「うん、また明日。」




挨拶もそこそこにして、あたしはみんなと別れた。



どうしようもない気持ちを、抱えながら…。






「…っ、はぁ、はぁ。」




気がつくとあたしは、みんなから姿が見えなくなった瞬間走り出していた。