光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あたしが昇降口に着いた時、空に浮かぶ灰色の雲から大粒の雨が降ってきていた。
傘は持っていない。
仕方なくあたしは、ここに来るまで走って来たみたいに、再び雨の中を走り出す。
無我夢中だった。
徐々に濡れていく髪や服が肌にくっつく不快感も、気にならならほどに。
あたしはとにかく、とにかく走った。
自分の中に芽生える気持ちをかき消すつもりで。
ずっと幸せでいて。
ずっと笑っていて。
―――……伸一。
あたしはこの時、初めて好きな人の幸せを願った。
自分の想いは届かなくてい。
そう思っているつもりだった。
でもそれは、ただ逃げているだけ。
あたしはこの時、この恋を頑張っていくことから逃げたんだ。
自分が傷付くことを恐れてしまっていたから。
いつも前に進めなかったのは、誰のせいでもない。
あえて誰かと言うならば、それはあたし。
臆病な、あたしだった――。
傘は持っていない。
仕方なくあたしは、ここに来るまで走って来たみたいに、再び雨の中を走り出す。
無我夢中だった。
徐々に濡れていく髪や服が肌にくっつく不快感も、気にならならほどに。
あたしはとにかく、とにかく走った。
自分の中に芽生える気持ちをかき消すつもりで。
ずっと幸せでいて。
ずっと笑っていて。
―――……伸一。
あたしはこの時、初めて好きな人の幸せを願った。
自分の想いは届かなくてい。
そう思っているつもりだった。
でもそれは、ただ逃げているだけ。
あたしはこの時、この恋を頑張っていくことから逃げたんだ。
自分が傷付くことを恐れてしまっていたから。
いつも前に進めなかったのは、誰のせいでもない。
あえて誰かと言うならば、それはあたし。
臆病な、あたしだった――。