光を背負う、僕ら。―第1楽章―
スー…トンッ
窓を閉める音が、やけに鮮明に聞こえてくる。
少しでも長く伸一君と一緒にいたいという思いから、窓を閉めるスピードがやけにゆっくりになってしまう。
それに引き替え伸一君は、やけに素早く窓を閉めていた。
さっき同じ部活の仁川君と話していたということは、話の内容はきっと、「早く来い」というようなことだったのだろう。
だからやけに、窓を閉めるスピードが早いんだ。
そう思っている間に、伸一君は教室にある窓の半分以上を閉め終わっていた。
残りの窓は、あたしがついさっき閉め終わったところだ。
伸一君はすべての窓を閉めたことを確認すると、自分の机の上に置いてあったスクールバックに手をかける。
だいぶ急いでるみたい…。
それは伸一君の素振りから十分分かることだった。
その時、フッとあたしの中にある考えが浮かんできた。
「あっ、あの…」
自分でも気付かないうちに声が出ていた。
伸一君は「ん?」と言うような表情であたしに視線を向ける。
一呼吸を置いてから、言おうと思って頭の中に並べた言葉を、そのまま読むようにして口を開いた。