光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あの時から、三年。



この三年間、あたしが過ごした時間。



その時間の中には、たくさんの変化があった。



この写真を撮ったあの頃から今までに、あたし自身や伸一を含めるみんなの中で変わったものならたくさんある。




あたし自身の変化は、伸一への恋を諦めようと思い始めたこと。




あたしは伸一のことを『伸一君』と呼ぶようになった。



それは、あの雨の日がきっかけ。



伸一と真奈を二人きりにするために教室を出た時、あたしは確かに言った。





『…真奈、また明日ね。“伸一君”も、…バイバイ!』





どうしてあたしは伸一のことを“伸一君”と呼んだのか、自分自身でもわからない。



五年生の時、お互いのことを呼び捨てで呼ぶようになった時、あたしはそれだけで嬉しかった。



それだけで、伸一に少しだけど近付くことが出来た気がしていた。



伸一の言う“運命仲間”の絆が、出来ていた気がする。



だけどあたしはあの時、自らその絆の手放した。



あれだけ大切にしたいと思っていた、その絆を。




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