光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「ちょっと、佐奈。」



「ん?」




隣りで黙っていた明日美が、あたしのブラウスを引っ張りながら小声で尋ねてきた。




「さっき先生が言ってた三人って、そんなに有名なの?」



「「あっ、明日美…。」」




明日美の言葉に、あたしと隣りにいた流歌は声を揃えて苦笑いした。



その様子に明日美は、「えっ、何!?」と混乱している。



唖然とするあたしに変わって、流歌が明日美に事細かく説明した。




「…あのね、明日美。富山さんと佐山さんと三谷さんって言ったら、知らない人がいないほど有名なの。」



「えっ!でもあたし知らないよ!?」




明日美の言葉に、あたしも流歌も頭を抱えたい気分だった。




まさか明日美が、こんなに音楽にうとかったなんて…。



音楽にうといと思っているあたしだって、この三人ぐらいは知ってるよ。




「明日美は音楽にうとすぎ!吹奏楽やるなら、それぐらい知っておきなって!」



「いや、あたし、吹奏楽以外はあんまり興味ないから、音楽はよく知らないんだよね…。」




流歌に言われて苦笑いする明日美の気持ちも、わからなくはなかった。




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